大阪メトロ動物園前駅から歩くこと数分。駅北側のにぎやかな空気とは対照的な南側。地元の方たちが行き交う、民家の多いエリアに今回紹介するヨリドコハウスがあります。
ひと花センターと近く、落ち着いた空気が流れるエリア。昭和から変わらぬ路地裏に、4階建てのヨリドコハウスがあります。元々は福祉アパート。こちらをフルリノベーションし、このたび、新たな入居者さんを募集することになりました。
居室は5部屋で、ひと部屋は6畳ほどの小さな空間ですが、室内にはキッチン、冷蔵庫、電子レンジ、エアコン、IHコンロ、炊飯器、電気ケトルなど、全部購入すれば20万円以上かかりそうな生活必要品が最初から勢揃いしています。もちろん部屋は鍵つきです。
入居対象者は若者に限定しています。
シャワールームは共同利用で2箇所、トイレ、洗濯機は各フロアに1台ずつあります。
家主はヨリドコオンラインを運営する、釜ヶ崎支援機構です。ヨリドコ編集長・小林に話を聞きました。
ーーーこの事業にかける思いを聞かせてください。
小林
釜ヶ崎は元々住まいを失ってたどり着く人がいたり、釜ヶ崎で日雇い労働をしている人が仕事につけなくなってしまって結果的に寝泊まりできる場所がなくなる方が、昔からずっといる地域ではあるんです。
それに対してあいりんシェルターという無料で夜間寝泊まりできる緊急の宿泊所ができたり、生活保護が受けやすくなったりとかして。で、釜ヶ崎支援機構では、2年前からワンルームマンションを西成区内で20室以上借り上げて、住宅の提供をしてきたのですが、いざ居住支援事業をしてきた中で、それだけでは解決できない領域が見えてきて、シェアハウスをつくろうという考えに至りました。
ーーーどんな課題が見えてきたんですか?
小林
基本的に日本のホームレス支援団体は、野宿している人に対して生活保護を利用する前提で住まいを探していますが、一定の方は生活保護を受けたくないという方もいます。
そうなった場合に一気にできる幅とか使えるサービスが減ってしまって、もう少し安価な住まい提供を、と考えたのがひとつです。
2つ目はコミュニティに属す機会がなかった人たちというのが、やっぱり一定数いらっしゃるので、ワンルームになると完全にひとりで閉じこもってしまうので、ゆるやかに人とか関われる、生活環境があったほうが良いと考えたのがその理由です。
3つ目の理由として、ひとり暮らしはわりとタスクがあります。毎月家賃を支払う必要があるし、ゴミも決められた日に出す必要がある。それらをこなすのが苦手な人もいる。そういう人がワンルームマンションに入居すると、閉鎖的な空間で課題が見えにくくなって、結果的に重大な事故につながるおそれがあります。例えば部屋の中で水漏れを起こして、それが原因で別の部屋に住む人が被害にあってしまうこともあります。
整理すると、安価な金額で住める場所と、ゆるく人とのつながりが保てる場所、ひとり暮らしの練習になる場所の3つを兼ね備えたシェアハウスが必要だと感じました。1階に管理人室もあり、われわれが管理しますので安心です。
ーーー人とのつながりという点ではどんなことをお考えですか?
小林
住民同士の食事会も考えています。みんなで調理して食べる機会をつくれば楽しいかと思っています。
ボランティアの方々や地域の人と関わる機会をつくったり、積極的にそういう場所を使ってもらおうと考えています。
人と関わりたいけれど、なかなかそういう場を見つけることができなかったり、1歩踏み出せなかった人に積極的に使ってもらいたいので、優先的に迎え入れたいと考えています。
ーーー家賃とかはどうなりますか?
小林
3万5千円からと考えています。ただ、月払いの仕事について働き出した人は、手元にお金が入るのは1ヶ月はかかる上、新生活でお金もかかるので、最長でも4ヶ月は家賃を最低0円で、収入が落ち着いてから支払ってもらうなど、人によってプランを考えていこうと考えています。基本的には、とまり木的な場所にしようと考えていて、最長でも1年のご利用で考えています。
好立地で生活必需品がスタンバイしている部屋が5部屋。何もかも整った住みやすそうな物件です。再スタートの足がかりにしてみてはいかがでしょうか。