今回紹介する釜ヶ崎支援機構のお仕事支援部(南事務所)は、釜ヶ崎まち案内の記事にも登場する、通称三角公園と呼ばれる萩之茶屋南公園の近くにあります。
前々回の記事ではお仕事支援部ではどんなことができるのか、前回の記事ではお仕事支援部で紹介してもらえる内職センターやリサイクルセンターでの作業について職員の大塚さんに聞いてみました。今回はお仕事支援部で紹介してもらえる清掃関係の仕事内容についてお伺いしています。
ーーー前回、植栽剪定やコインランドリーの清掃のお仕事があるとお聞きしました。どんな業務内容なのでしょうか?
大塚
大阪市西成区の委託事業もあれば、国からの委託事業を受注しているものもあります。また、パートナー企業として関わっている府民の森での除草・伐採作業とか、民間企業と契約して獲得した清掃系の仕事など、さまざまな仕事があります。
例えば生駒山に大阪府民の森という場所がありますが、その中河内地域を住友林業のパートナー企業としてお手伝いさせてもらっています。具体的には公園の森林伐採とか、樹木の剪定作業ですね。
似た作業で言いますと、京都の修道院の除草や、大阪市・玉造にあるカトリック教会、長居公園、工場内の樹木の剪定作業があります。
ーーー清掃作業の中でも森林や公園といった野外での作業が多いのでしょうか?
大塚
そうですね。ほかにも2006年に民間の会社とJVを組んで府営公園の指定管理者となりました。
そこでは公園のトイレ掃除やゴミの回収、水撒きといった仕事を職場体験として行っています。仕事にブランクのある方や職歴のあまりない方などに参加いただき、就労意欲の後押しや生活リズムの安定に活用してもらっています。
ーーーコインランドリーの清掃作業とおっしゃっていたのは、どんな内容でしょうか?
大塚
近隣区域にある無人のコインランドリーでの掃除や洗濯乾燥機のホコリ取り、洗剤の補充などの作業です。この作業を通じて、段取りよく仕事ができるかどうかや丁寧に作業を進めることができるかといった、仕事に就く際に必要な、初歩的な事柄について確認しながら、次のステップを一緒に考えていく機会にしています。
あくまでも就労して自立するまでのひとつのステップとして、短期間に取り組んでいただくこともあれば、。完全に仕事を覚えてもらって、ある程度長期でひとりでできるようになってもらうこともあります。
ーーー職場体験の利用者さんはどんな人なのでしょうか?
大塚
これは私が担当したケースですが、あいりんシェルターでずっと過ごしている50代の男性がいます。
あいりん総合センター横での野宿生活からコロナ禍をきっかけにシェルターを利用するようになりました。
彼は地域の労働者仲間からさまざまな仕事に関する情報を仕入れていたものの、その収入で自立した生活は難しく、月に一回、芝居小屋の片付けをしていた程度でした。芝居小屋の片付け作業とは大道具の搬出入など、引っ越しに近い作業です。当然月に一回のそれだけでは食べていけません。ですので、定期的な就労リズムを身に着けてもらうために、前回お話しした「府営公園での午前中の水撒き作業」を2ヶ月ほど体験していただきました。1日3時間の作業ですが、暑い中の作業ですからたいへんです。ほかには内職作業にも断続的に関わってもらっていました。
さらに、今年の10月からは、公園での清掃作業に移ってもらいました。作業の内容や量が増え、就労日数も月15日に、1日の就労時間も3時間から作業内容6時間と倍になりました。月に1回の単発仕事から、安定した仕事に継続して取り組めるようになってきたのです。現在は、今の就労プログラムを最後までやり切ってから、さらに就労による自立ができるように、就職活動などに向けた支援を伴走型で行っています。
ーーーそうなればあいりんシェルターから出られそうですね。
大塚
そうなれば望ましいのですが、シェルターに滞留せざるを得ない事情を抱えた方が多いのも実情としてあります。
たとえば借金や税金の滞納などで住民票を移したりできないとか。本人確認できる書類もないので、住まいや仕事に就くことが難しくなります。
ーーー公園の職場体験のルートから就職につながるケースが多いんですね?
大塚
さまざまなケースがあります。例えば西成区で自立に向けた技能講習をやっていまして。
「清掃業希望の方へ いきいき清掃講座」というもので、参加費無料の講座になっています。
この講座の何が良いかといいますと、プログラムの講師が清掃会社であるワーカーズコープの人事担当者なので、受講後に直接スカウトされることもあります。実際にこの講座経由でワーカーズコープに就職した人もいます。
例えばサービスハブ利用者で、AKB48が好きな田淵さんもそのひとりです。彼は講師側として今も講座に関わってもらっています。
ーーー大塚さん自身も講師をされていますね。
大塚
私は釜ヶ崎支援機構に入る前はもともと研修講師をしていましたので、面接対策セミナーで講師をしています。
ーーー今できていないけれど、これからしていきたいことはありますか?
大塚
企業に利用者を送り出したあとのフォローアップをもっとしていきたいですね。