今回紹介するサービスハブ西成は再チャレンジできるまちを目指し、2019年から新たに西成区で生まれた事業です。釜ヶ崎にはさまざまな支援団体が多数あり、社会資源の多い地域です。その地域の社会資源のハブ機能となり、既存の制度では十分に支援ができなかった若年層等への支援をする事業です。どんな場所なのか、職員の笠井さんに聞いてみました。
ーーーサービスハブってどういう場所なんでしょうか?
笠井
サービスハブは釜ヶ崎のさまざまな団体と連携しながら、困っている人にとって来れる場づくりや、ボランティア活動などの社会的つながりづくりを行いながら、生活支援や就労支援を実施しています。
ーーー困っている人というのは、西成区に住んでいる人が対象ですか?
笠井
そうですね。基本的には西成区で生活保護を受給している15〜64歳で稼働能力があるけれども仕事がなかなか決まらない、仕事が決まっても長続きしなかったり、健康状態などに課題がある方が対象です。西成区役所から対象となる利用者さんが紹介されます。来ていただくと最初は面談の時間をつくります。
面談といっても窮屈なものではなく、現在の生活面やお仕事、ご自身の今の状況などをざっくばらんにお聞きします。興味のあることもお聞きして、サービスハブでどんなことがしたいか、やりたいことを一緒に探すお手伝いをします。
ーーー例えば利用者はどんなことができるのでしょうか?
笠井
大きくわけて就労支援と生活支援、社会的なつながり支援があります。
日雇い労働しかしたことがなくて、ハローワークを利用したり、履歴書を書いた経験がない人も多数います。就労支援では、そういう人のためにいっしょに履歴書を作成したり、ハローワークにいっしょに行って、利用方法を確認します。戸籍がない人や、携帯電話をもっていない人もいるので、必要なサポートを全部します。ひとりひとりにあわせて、ご本人と担当支援員と話し合い、これから取り組みたいことなどをサポートします。
笠井
生活支援は例えば生活リズムが崩れている人に関しては、朝起きて居場所にきてもらうとか、病院の受診に行く必要がある人には、一緒に病院に行ったりしています。
ーーーめっちゃ心強いですね。
笠井
つながり支援では、孤立した状態からもう一度社会とゆるやかに接点がもてるように、関係性づくりのお手伝いをします。居場所を運営しているので、ゲームをしたり、テラスでバトミントンをしたり、談笑しています。
もちろん誰とも話さずにくつろいでもらっても大丈夫です。この場所は日・祝・年末年始以外の10時から16時の間、開いています(緊急事態宣言中は制限があります)。
笠井
利用者さんの中には困窮状態となってこのまちに辿り着いた人もたくさんいて、大阪出身の人は意外と少なく、知り合いがぜんぜんいないという人もいます。感情を共有しあって辛さが緩和されることもあるし、困ったことがあったときに解決につながったりします。
ーーーサービスハブ西成を利用して仕事につながった人はいますか?
笠井
もちろんいます。Aさんの例がわかりやすいので、次回の記事でサービスハブ利用者の経験談を紹介しますね。